熊本県(馬刺し県)

熊本県は肥後の国と同じ領域です。それは、細川藩領ともほぼ同じですが、天草は天領、球く磨ま地方は相良藩でした。皮肉なことに細川氏のあとに知事になった福島譲二氏は天草出身です。天草はキリシタンの島として知られますが、河浦町の崎津地区は漁村のなかにゴシック風の教会が建つロマンティックな風景を見せています。

 

球磨地方の中心は人吉で、ここからの球磨川下りは日本三大急流の魅力を十分に味わえます。米焼酎の産地としても知られています。球磨川上流の五木地方は平家の落ち人伝説の地ですが、ここの「五木の子守唄」は日本を代表する民謡のひとつ。

 

熊本城は、阿蘇山の火山灰が積もった弱い地盤を補強するために下は緩やかですが上部は急勾配の石垣が見事です。西南の役で政府軍が籠城したとき、天守閣などは焼失しましたが、それでも西郷軍の攻撃に耐え抜いて難攻不落ぶりを近代戦で実証しました。また、東海道五三次のミニチュアというべき水前寺公園も誰にもわかりやすい大名庭園です。

 

熊本城と並ぶ土木技術の勝利は、中西部の矢部町にある通潤橋。安政年間に建造されたアーチ型の水道橋で、堆積した砂を流すために中央部の腹の部分から20メートル下を流れる五老ヶ滝川に放水される風景は観光写真でもお馴染みです。

 

肥後もっこすという言葉に象徴されるように、熊本県人は頑固で男性的です。旧陸軍や自衛隊に最良の人材を送り出している尚武の国ですが、打撃の神様である川上哲治や史上最強の柔道選手の評価も高い山下泰裕などは肥後もっこすの典型でしょう。女性でも芸能界に、水前寺清子、八代亜紀、島田陽子、石川さゆり、森高千里などしっかりした自己主張を持ったスターを輩出しています。

 

旧制第五高等学校は、夏目漱石が教え、池田勇人や佐藤栄作を生んだバンカラで知られた学校ですが、その後身の熊本大学からは宮崎美子、斎藤慶子という珍しい現役地方大学女子大生スターを出したのが面白いところ。また、オウム真理教の麻原彰晃は八代出身です。

 

阿蘇山は世界最大のカルデラをもち、草千里と呼ばれる雄大な草原が日本離れしているうえ、活動を続けている中岳の火口をのぞけるところまでロープウェーなどで登れます。阿蘇山から流れ出る白川の水は名水として知られていますが、このほかにも県内には名水が多く、環境庁が選んだ日本名水百選にも四か所が入って全国でも富山県と並んで最多。

 

臨海部では荒尾の日立造船などがありますが、内陸部の熊本空港周辺はテクノポリスの中心で、ハイテク産業やホンダの工場などが進出しています。京都に本社を持つオムロンの創始者立石一真は熊本出身で関連の工場も置いています。

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